この宍戸官兵衛を差し置いて老中自らが御意見番方を取り仕切ると申すのですぞ!なるたけ上の方からものを言わぬ方がよい。 大目付様お待ちくださいませ!本気でご老中に意見する奴があるか!そうではございません。 息子がお役目に就けなくてよいのか?余計な意見は控えい。 みじめな無役なんて…!何と申した?父上のように言うことも言えずすることもせず毎日盆栽いじりや酒で無聊を慰めているだけのあなたは息子にも意見できない腑抜け侍だ!角田茂左衛門が死んだ?上様。
係争中の諸問題を提示させて藩の存続が成りうるかどうか聞いておったな?伊予津山藩を探れ。 なのに旗本にしてくれるどころか御目見以下の御家人ですよ!しかも無役のね!才覚がなくても江戸譜代の者はどんどん引き立てられ私たち紀州の者はさして出世できない。 おぬしは各藩の江戸留守居役の集まりの世話役であったな?公儀に対し早々に献上金を出すように働きかけろ。 担当の大目付様に藩の石高に見合った物をお渡しさえすれば何者だっ誰の許しを得て入ってきた?あ~ら若様!こちらでございますよ!あらやだ。
「稽古のあと竜太郎に説教される」「御意見番方ならもっと意見を言えと…。 頼もしい息子よ」「竜太郎の正義感あふれた顔を見ていると“今日こそは意見を言うぞ”そう思うがあの場に行くと「無役を恥と言う竜太郎を思わず殴る」「その拳の痛さいまだ治まらず」「しかしこの痛さは息子の心の痛さには遠く及ばず」「何とかしてやりたい…。 そこには検見法の見直し鋳金の改正火事対策米価の安定供給井戸水道の整備ゴミのことなどやがておぬしが世に出ればそこに書かれていることも役に立とうとな…。