神妙にしやがれ!やれるもんならやってみろ!逃がすな!おい手分けして捜せ!へい!誰でい火付盗賊改め笹野図書である。 今盗賊の一味が来やせんでしたか?いや誰もここへは来なかった。 盗人のことは火盗改めに任せろ。 栄五郎は西岡という火盗改めの与力が怪しいとか。 火盗改めの与力…なぜだ。 隼人は火盗改め与力の身辺を探りあざみは手口から次に狙われそうな大店を洗い出せ。 何故大事な評議に出てこられないのか?明後日の朝廷御勅使とのご会見の儀お忘れではありますまいな。 一日十両…いや二十両でいかがでしょう。
俺は貧乏旗本の三男坊で徳田新之助。 〔私が政吉さんをたぶらかしてる?とんでもない〕〔ではもうかかわらないでくれ〕〔私は別に…政吉さんが会おうっていうから〕〔もうかなりの金は渡してあるはずだ〕〔私が「くれ」と言った覚えはありません〕〔言わなくてもだな…〕〔お兄さん〕〔あんた男と女のこと知らなすぎるんじゃないのかい〕〔そう簡単には割り切れないものなんですよ〕そういう女なんだ!何だよ兄貴こそここのところ散財しまくってるじゃないか!お前だけには言われたくないね。
それは油滴天目茶碗。 百両この茶碗が…。 いやちょっと旦那!旦那…!旦那怒らないでくださいよ私だって好きで…違うんです。 旦那早く…!蔵の鍵は?すみません奪い損ねました。 でも?旦那が何のためらいもなく人助けをするのを見たとき立派な人だと思った。 旦那…私はどうしたらいいのか…何をしたらいいのか…。 大丈夫!私はこぐのが得意ですから。 辰巳屋さんこれは一体…。 辰巳屋さんがお帰りだよ~!徳田様…難しい顔はいけませんよ。 わっ!徳田様どうぞ…。 お離しなさい私の旦那よ。
で新さんはひとりだったのか?いや日本橋の辰巳屋の若隠居と一緒に…。 辰巳屋?あのケチで有名な太物問屋の?最近人が変わったみたいに遊び回ってるって…。 言うに事欠いて今度はお公家様かい?しまいには「俺は将軍様だぞ!」と言うんじゃねえだろうなおお幸助!金は持ってきたか?あれ?政吉お前も一緒か。