敷地面積二千六百十七坪総建坪千八百十九坪の南町奉行所は岡村さん見つかりません。 また奉行所をこっそり抜け出して町場で…これなんじゃないですか?目を通して頂かねばならぬ書類が山積みだというのに…。 池田!お奉行はどこへ行かれたんだ?いらっしゃらないんですか?いないから訊いてるんだ…。 ぼさっとしてないでさっさとお奉行を捜してこい!わかりました!忠相の私邸は南町奉行所の敷地内にあり一本の長い廊下で繋がっていたお奉行!こちらにいらっしゃったんですか!ああもう…大きな声を出すな。
それを女房だなんてそちらのお二人は人違いをなさってらっしゃるんですよ。 ならば尚の事記憶の戻らぬままこの者をその方らのいずれへも引き渡すわけにはいくまい。 で…ですがお奉行様!本日の白州はこれまで。 助けて頂いたお方がお奉行様だったなんて。 こんなものでは南町奉行所の威信に関わる。 お澄は朝から店を閉める日暮れ前の七つ半まで一方喜助の女房として暮らしている事にこの近くで女の悲鳴を聞いた者がいるそうだ。 お好きにどうぞ!もしかしてあの人…以前酌婦をしていたのかもしれませんね。
待ってください!この人が何をしたっていうんですか!待ってくださいな!あのおちかはな駿府で亭主を刺し殺して行方をくらませた女なんだよ!駿府城下で酌婦おちかが亭主の猪之吉を刺したのは半年前の事だったおちか…てめえ…!おちか!!その亭主をおめえは出刃包丁で刺し殺したんだよ。 おちかその方半年前駿府城下において亭主猪之吉を殺害したる事…しかと思い出したか?たとえそうだとしてもその方が猪之吉を手に掛けた事は紛れもない事実だ。